ジェラールかわらは、明治初期に作られた本格的な西洋かわらである。
しかし、ー世紀ほど経た今、残されているのは、数少ない。
それがニ年前に、市内汐入町一ノー八、芳賀重太郎さん宅で大量に発見され、横須賀市に寄贈された。
文明開化時代を伝える貴重な資料である。
これは、フランスかわらとも呼ばれ、横浜市開港記念館所蔵の「絵入り商人録」(明治二十年刊)によると、
製造工場は横浜元町七十七番地、「瓦煉瓦石製造所」。
製造者は、フランス人のアルフレッド・ジェラール。
ジェラールかわらには、棟(むね)かわらと平かわらのニ種類がある。
棟がわらは高さ十五a、幅二十三a、長さ四十九aで、あん馬形。
平かわらは、たて三十四a、幅四十a、厚さー・五aある。
ひし形の格子模様などは、文明開化時代にふさわしいデザイン。
かわらには、製造者アルフレッド・ジェラールの氏名と、機械製造であるという説明があり、西歴の年号が刻まれている。
ジェラールは、明治三年(1870)に来日、横浜市内での肉屋業に失敗後、元町で井戸を掘り、船員相手に飲料水を売
って成功した。六年からニ十二、三年まで蒸気を利用した機械で、わが国初の西洋かわらを製造し、横浜近辺の西洋館に使われていた。
横須賀市教育委員会では、芳賀さんのこ好意に沿うよう、かわらを市内の各学校などへ提供している。
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