京急津久井浜駅下車。緑と日差しに恵まれた静かなたたずまいの中に、万代(まんだい)会館がある。
この会館は、故万代トミさんの邸宅を、ご遺志によって横須賀市へ寄贈されたもので、昭和五十五年四月に開館された。
トミさんのご主人、順四郎さんは、明治十六年(1883)岡山県に生まれ、三十四年に上京。青山学院を卒業後は
三井銀行に入社、大正三年(1914)一月にトミさんと結婚された。
昭和十二年には三井・第一銀行の合併により発足した帝国銀行の取締役頭取に、次いで、二十年には取締役会長とし
て、戦争末期の激動期に活躍。
戦後、財界から勇退、二十二年四月この地に住まわれるー方、ソニーの取締役会長を務め、また、母校青山学院の復興
に尽くされた。こ夫妻とも、温暖静寂なこの地を、こよなく愛されたが、順四郎さんは昭和三十四年三月に、トミさんは五十三年五月
に亡くなられた。横須賀市では、トミさんのご遺志を生かして「万代会館」と名づけ、広く市民の学習と文化活動の場として提供している。
ちなみに、昭和五十八年度の開館日はニ百九十八日、利用したのは四百五十一グループで、五千四百二人の皆さん。
万代会館の所在地は横須賀市津久井二二二番地。面積は、敷地が四千九十八平方b、建物がニ百十四平方b、木造平屋、茅(かや)ぶき屋根で部屋は松、竹、梅、
椿(つばき)と呼ぶ和室が四つ。そのうち松、竹は今の皇后ご生誕の部屋を東京から移築したもの、と伝えられる。
開館以来、利用する市民をお世話する佐々木孝子さん、相田うめさんは「地元の母親クラブやPTA、それに和裁、お茶会などに毎日、利用されています。
最近は、万代園芸同好会や万代囲碁クラブが発足。読書会や句会も盛んですね」。 句会といえば、横須賀玉藻(も)会もそのーつ。
同会幹事の青木宗次さん(横須賀市鴨居)は「純和風のたたずまいで景色もよく、句会には最適な場所です。
二度目の利用ですが喜んでおります」。
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