石井 昭 著 『ふるさと横須賀』
教育奨励旗 『毎年卒業式壇上へ』 |
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「普通教育奨励規程左ノ通り之(コレ)ヲ定ム」として、神奈川県知事の周布公平が市役所や郡役所へ訓令を発した。明治三十九年九月のことである。規程は次の通り。 「第一条 普通教育ニ関シ左ノ各号ニ該当スル者アルトキハ賞与ヲ交付シテ之ヲ表彰ス 一、教授訓育ニ関シ成績特ニ優良ナル小学校 二、職務ニ勉励シ成績優良ナル公立私立ノ小学校教員及(オヨピ)小学校ニ附設セル盲唖(モウア)学校其(ソ)ノ他小学校ニ類スル各種学校教員(中路) 第二条 郡長及市長に於テ前条二該当スト認ムル者アルトキハ其ノ事実ヲ詳具シ知事ニ申告スヘシ」 二年後の四十一年に次の通り規程が追加された。 「第三条 第一条第一号ニ該当スル小学校ニ対シテハ別記雛(ヒナ)形ニ依ル奨励旗ヲ授与ス 第四条 奨励旗ヲ受ケタル小学校ニ於テハ左ノ場合ニ之レヲ掲揚スヘシ 一、儀式ヲ行フトキ ニ、児童ヲ一団卜為(ナ)シ職員之レヲ統率シテ外出スルトキ 三、運動会ヲ行フトキ 四、第一号乃至(ナイシ)第三号ニ類スル挙アルトキ」 教育奨励旗は、横三尺三寸(約一b)縦二尺二寸(約六十六a)。布地は縮緬(ちりめん)、赤地に白三本の波線といった素朴なもの。 この奨励旗が、横須賀市立汐入小学校に保存されている。関東大震災や戦時中を切り抜けて、今は卒業式に掲げられる。金子金次校長のお話によると「毎年、卒業式前後に出す慣例が虫干しを兼ねてたのでしょう。七十年以上も経ているので、だいぶ傷みました。額に入れてあります」 また、地元の汐入町二丁目一区町内会長の藤原新一さんは「卒業式の時に拝見してますが、これまでの保管がご苦労だったと思います。七十年以上も持ち続けられたこと自体、教育そのものだと思います」と語っておられた。 |
明治から大正にかけて成績優良な尋常小学校に対して、教育奨励旗が授与された。今の横須賀市内では、大津、汐入などの各小学校へ。写真は、汐入小学校に残る教育奨励旗。貴重な資料である。額に納められ、ランチルームに飾られてある |
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