石井 昭 著   『ふるさと横須賀』


長井あめや踊り  『祭礼や大漁で奉納』
原文

市指定の無形民俗文化財の長井あめや踊りは、百五十年からニ百年前に、房総(千葉県)方面から長井の新宿に伝えられた、という。 歌舞伎の心得のある人がやって来て、あめを売りながら踊りをおどった。海のしけた日などは、漁師の家を訪ねて踊りを見せた。あめや踊りには、手踊りと段物がある。新宿に残るのは手踊りのほうだ。段物はもともと大人向けで、「高台寺の和尚」「日蓮経」などがある。子供には無理な出し物だ、そうだ。「長井あめや踊り保存会」のメンバーは今、三十人。この新宿町内、百八十五 世帯がバックアップしている。会長の小知和(こちわ)謙一さんにお話をうかがった。 「昔から祭礼、大漁祝いの出し物でしたが、戦時中はー時、中断。昭和二十二年の第一回港まつりが戦後、初めてでした。当時は、古老がだいぶおられました。今は大先輩の嘉山久造、進藤友吉、池永幸吉、龍崎辰次さんらがりーダー役です。あの節回しですか。あるようで、ないようで・・・。昔からの言い伝え、聞き伝え。正式な音譜はありませんよ。気を付けないと、昔の地なまりのセリフが現代語になってしまいます。 月にー、二回は練習をします。出演が決まると毎日です。お年寄りと子供たちのつどいですから、私らは中間にいて世話役にすぎません。町内にはニ、三十代の経験者がいるので、いつの日か加わってくれたら、と期待しています」  あめや踊りは、三浦市南下浦町の菊名にも残つている。白山神社の祭礼に奉納される。明治のころ飴与三(あめよさ)という、あめ売りが伝えた、とか。長井と歌詞は、ほぼ同じだが、節の違うところが目につく。長井あめや踊りは、浦賀の虎踊りや鴨居のトッピキピー踊りとともに、横須賀の誇る民俗芸能。そろって毎年九月上旬、文化会館で行われる横須賀民族芸能大会で、市民を楽しませてくれる。
原本記載写真
横須賀市指定の無形民俗文化財「長井あめや踊り」 は、150年から200年前に長井町の新宿に伝えられたという。海の荒れた日など漁師の家を回り、あめを売りながら踊りをおどった。写真は、熱演する保存会の子供たち

寄稿・補稿欄
皆様からの関連する記事・写真などの寄稿をお待ちいたしております。

参考文献・資料/リンク
横須賀市市立図書館
皆様からの声
ご意見、ご感想 お寄せ頂ければ幸いです。
ご意見・ご感想をお寄せ下さい


ご氏名 ペンネーム ハンドルネームなどは本文中にご記入下さい。 尚、本欄は掲示板ではございませんので即時自動的にページへ
反映される訳ではありませんのでご承知おき下さい。

メール:(携帯メールも可)